第130章

藤原雅彦の言葉を聞いた瞬間、永橋英明の身体がわずかに強張った。

だが、それもほんの一瞬だ。

薄いレンズ越しの澄んだ瞳が、笑っているようで笑っていないまま藤原雅彦を捉える。

「藤原さん、飴が好きなんですか? 奇遇ですね。ちょうど、僕のところにもあります」

そう言うと、永橋英明は本当にポケットから、洒落た包みのチョコレートキャンディを一粒取り出し、藤原雅彦の前へ差し出した。

「ただ……お口に合うかは、分かりませんけど」

藤原雅彦は視線を逸らさない。ただ静かに、永橋英明を見返した。

しばらくして、ふっと眉を上げると、伸ばされた飴を指先で押し戻す。

「飴なら、もう好きなのを見つけた」...

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