第144章

中島さんはショルダーバッグをぶら下げ、得意げに言い放った。

「みんな、早く来て探して! ブローチは絶対、この人のバッグの中に隠してあるから」

――あの頃は、あんなに無垢で、何も知らない顔をしていたのに。

その顔を見つめた菅田友香の瞳には、失望だけが濃く沈んだ。

「開けろ! 開けろ!」

「そうだ、さっさと開けろ! 鉄の証拠ってやつを見せてやれ!」

「ここまで来てまだ認めないの? 今さら後悔しても遅いよ」

口々の催促に押され、中島さんはますます調子づき、バッグを頭上高く掲げた――そのとき。

「待て」

不意に、気怠げな声がゆっくりと落ちてきた。

次の瞬間、清貴で背筋の通った男の...

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