第150章

藤原彩香は今日は珍しく早めに帰宅した。玄関を入るなり、リビングで苛立ちを隠しもしない母の顔を見て、慌てて駆け寄る。

肩を揉みながら、わざと明るく探りを入れた。

「お母さん、永橋夫人たちとお茶会って言ってなかった? どうしてこんなに早く帰ってきたの」

「まさか……誰かに何か言われた?」

藤原雅子が鼻で笑う。

「誰って、ほかにいる? あんたの情けない兄さんよ」

兄さん――?

彩香の好奇心が一気に跳ね上がった。

兄は子どもの頃からずば抜けて優秀で、今では藤原グループの実権を握る人間だ。母はいつも誇らしげに兄の話をする。なのに今日は、まるで別人みたいに機嫌が悪い。

藤原雅子はさっき...

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