第022章

ぼんやりとした視界の向こうで、藤原雅彦は――あの小悪魔みたいに目を輝かせていたお嬢ちゃんの姿を、ふいに思い出した。

「叔父さん!」

淡い葱色の影が近づいてくる。

胸の奥がざわりと波立つのに、藤原雅彦の端正な顔は相変わらず凪いだままだった。

「友香さん? 陽向を連れてきた」

菅田友香は藤原陽向のやわらかな手を取ると、ちょうど自分より頭ひとつ分高い藤原雅彦を見上げ、丁寧に微笑む。

「叔父さん、昔みたいに――友香って呼んでください」

「……分かった」

意外なほど素直に頷いた藤原雅彦は、続けて事務的に言う。

「それと、陽向は午後に習い事がある。時間になったら運転手が迎えに来る。場所...

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