第030章

ずっと、藤原翔太は菅田友香の寝物語を聞きながら眠るのが当たり前だった。

けれど菅田友香が家を出てからは、もう誰も絵本を読んでくれない。

少しでも駄々をこねると、田中さんがすぐ藤原行船を呼びに行く――そんな毎日。

ところが。

運よく、有紀ちゃんが家に来た。

翔太は救世主でも見つけたみたいに、さっそくそのお願いをぶつけた。

すると有紀ちゃんは、期待を裏切らない。

「いいよ。これから毎晩、翔太の好きなお話してあげる」

即答でOKした。

その夜、藤原翔太は久しぶりの寝物語に、ぱあっと機嫌を良くした。

……ただし。

有紀ちゃんが続けていくつも話してくれたのは、全部、ママが昔話して...

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