第051章

「パパ。きれいなお姉ちゃんが、僕のために服を一式デザインしてくれたんだ。親子競技で1位を取れるように、手伝ってくれるって」

息子の自慢げな口ぶりに、藤原雅彦は書類を握る手に力を込めた。

「ガキ。俺の前で調子に乗るな」

藤原家。

藤原行船の機嫌は最悪だった。拗ねて寝ようとしない藤原翔太を叱りつけて泣かせると、そのまま怒気を引きずったまま書斎へ引き上げる。

机の上には書類が山のように積まれている。けれど視線は一枚も追えない。代わりに――なぜか、きれいに畳まれた古いハンカチを取り出していた。

菅田友香が出て行くとき、置いていった唯一の品。

ほとんど一目で分かった。これは自分のハンカチ...

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