第053章

藤原行船は、菅田友香が街角のゴミ箱へまっすぐ歩いていき、手にしていたものをまとめて放り込むのを、ただ呆然と見ていた。

捨て終わると、彼女は汚いものでも触ったみたいにぱんぱんと手を払ってから、くるりと踵を返し、藤原陽向のほうへ向かう。

友香が戻ってきたのを見て、陽向はぱあっと顔を輝かせて駆け寄った。小さな手には、どこで摘んできたのか野花を一本、得意げに掲げている。

「きれいなお姉ちゃん、はな、あげる」

友香はにこにことそれを受け取り、わざわざ鼻先に寄せて深く香りを吸い込んだ。

「いい匂い。ありがとう、陽向」

その野花を宝物みたいに胸の前でそっと守る友香を見た瞬間、藤原行船は目の奥が...

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