第065章

電話の着信音に、仮眠中だった藤原雅子は否応なく苛立った。

――誰よ。昨夜だってろくに眠れなかったのに、せっかく寝直してるところを起こすなんて。

菅田有紀?

また菅田家の女か。ほんと嫌になる。

わざとしばらく放置し、三度目に鳴ったところで、ようやくのろのろと通話を取る。

「……もしもし。誰?」

受話口の向こうから、作ったように甘ったるい声が滑り込んできた。

「雅子さん、私です。有紀です」

雅子は白目をむく。

「こっちは寝てんの。用があるなら手短に」

一拍、間が空いた。菅田有紀はスマホを握りしめる。

「雅子さん……ひとつ、ちゃんとお伝えしておいたほうがいいことがありまして」...

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