第070章

車の窓がすっと下がり、秘書の顔が藤原雅彦の前に現れた。

「社長、ご依頼の書類です」

藤原雅彦はそこでようやく名残惜しそうに視線を引き戻し、差し出された書類を受け取った。

……しばらくして。

車のシートにもたれたまま、顔も上げずに黙々と書類に目を通す自社の社長を見て、秘書は胸の内でそっとため息をついた。

社長は、菅田友香のこととなると本当に骨身を惜しまない。

前のように、またネットの悪質な連中に取り囲まれるのを心配して、24時間態勢で護衛をつけて陰から見守らせているだけではない。

自らここへ来て、直々に目を光らせているのだ。

ここ数日、菅田友香の住むマンションの下で一晩中張り込...

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