第098章

藤原彩香は朝のうちに菅田有紀からきつく言い含められていたため、ずっとひそかに母の様子を窺っていた。

そのとき、藤原雅子の表情がふっと和らいだのを見て、すぐさま機嫌を取るように身を寄せる。

「お母さん、有紀さんの出来、どう思う?」

藤原雅子は取り澄ましたまま、ほんのわずかに頷いた。

「菅田有紀のほうが、菅田友香よりは少し見どころがあるようね」

藤原彩香は待ってましたとばかりに乗っかる。

「でしょ? お兄ちゃん、本当に気の毒だよ。当時、家同士の都合で菅田友香なんかと結婚させられて……。もしあのとき、有紀さんと結婚してたらよかったのに」

藤原雅子の目の奥に、鋭い光がひらりと走る。だが...

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