第5章
私は眠れなかった。目を閉じるたびに見えるのは、干からびたサラの死体が黒いポリエチレン袋へ押し込まれる光景ばかりだった。
午前三時。低く、規則的な振動がベッドのスプリングをがたがたと揺らした。
手術室の甲高いうなりではない。もっと深い。もっと重い。音は――私の足元、真下から来ていた。
地下四階。母が「構造が腐ってるから、分厚い鋼鉄の防爆扉で永久に封鎖した」と言い張っていた階だ。
私はベッドから滑り降り、ナイトスタンドに置いていた重い金属製の懐中電灯をつかんだ。診療所は空調の唸り以外、死んだように静まり返っている。非常階段を忍び足で降りていくと、一段ごとに空気が冷たく、湿っぽく...
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