第7章

 沢田は木曜日、私を自分の研究室に呼び出した。

 今回は、やわらかい声なんて使う気もないらしい。扉は閉められ、ブラインドは下ろされ、顔つきは何日も眠っていないみたいだった。

「約束したよな、凛。なのに、どうして俺の名前がこのキャンパスのあらゆるグループチャットに出てくる?」

「誰にも言ってません」

「じゃあ、誰が言った?」

 私は立ち上がった。

「だったら私を訴えればいい。事務室がどこにあるかは知ってるでしょ」

 そう言い捨てて部屋を出た。背後の扉は、開けっぱなしにして。

 翌朝、寮の外に両親が待っていた。

 「おはよう」と言い終える前に、父の手が飛んできた。開いた右手のひ...

ログインして続きを読む