第148章

だが、岩崎奈緒にとってはどうでもいいことだった。

ホテルを出て車に乗ろうとしたところで、森野昇からの電話が鳴った。

「ペニー、番号をお前の携帯に送っておいた。この内装業者も悪くない。ただ、千堂正幸とは競合関係にあるから、もしここと組むなら、千堂正幸を完全に敵に回すことになるぞ」

「千堂社長との提携は、永久に終了しました」

相手が先に仁義を欠いたのだから、こちらが道義にこだわる必要はない。

ましてや、千堂正幸は今になってもなお、他社が彼女と提携するのを妨害しようとしているのだから。

電話の向こうで森野昇が笑った。本当は彼女と藤原光司のことを訊ねたかったが、考え直して口をつぐんだ。

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