第300章

谷口優奈が去ると、岩崎奈緒は二人の弁護士の後ろについて歩きながら、父である岩崎雄大のことに思いを馳せていた。

未だに意識が戻らない父が、いつになったら目を覚ますのか、見当もつかない。

弁護士たちと近くの公園のそばまで来た。静かで、話し合いにはもってこいの場所だ。

腰を下ろした途端、遠くで公園の写生をしている藤原美咲の姿が目に入った。

藤原美咲も明らかにこちらに気づき、大股で近づいてくる。

「ペニー!久しぶり!」

岩崎奈緒は軽く頷き、彼女に微笑みかけた。「また写生?」

藤原美咲はため息をつく。

「そうなの。はぁ、本当はお兄様のところに行きたかったんだけど、最近ずっと忙しいみたい...

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