第307章

岩崎奈緒は彼の腰の上に跨ったが、どうすればいいのか分からず、ただ彼の首に腕を回すことしかできなかった。

「んっ、くすぐったい……」

灼熱の呼吸が首筋に吹き付けられ、そのまま服の中へと滑り込んでくる。その熱が引き起こす痺れるような感覚に、体は火照って耐え難かった。

藤原光司は彼女に煽られ、爆発しそうな衝動を抑えながらその腰を掴んだ。声は一瞬にして掠れて低くなる。

「ならどうする?痒いのを止めてやろうか?」

自分がいつか、こんな口説き文句を口にする日が来るとは、夢にも思わなかった。

「あなた、優しいのね……」

岩崎奈緒は彼の首筋に顔を埋め、自分が何を言っているのかもはや分かっていな...

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