第308章

萩原初は何も疑わず、藤原美咲がまるで魂が抜けたかのように、足元もおぼつかない様子で歩いていることにも全く気づかなかった。

藤原美咲がデザートコーナーに差し掛かったとき、笠木絵里奈が森野昇に絡み、遠慮のない言葉を浴びせているのが見えた。

「今夜ペニーを口説きに行ったこと、知らないとでも思ってるの?森野昇、あなた一体わかってるの?あの女はただの尻軽よ!あなたには全く釣り合わないわ!」

笠木絵里奈は怒りのあまり彼の腕を掴んだ。「本当に、あの子と関わっても良いことなんて何もないわ。私と何か食べましょ、今夜はみんな徹夜で遊ぶんだから」

確かに、毎年のこのパーティーでは、上の階へ行って寝る者はほ...

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