第310章

相思相愛とあれば、この機会に結ばれるのも自然な流れだろう。

それにしても、このペニーという女。藤原光司のデザイナーであることは、誰もが知っている。

萩原彩花はボディガードの服の下に隠れ、彼に何か言うよう合図を送る。ボディガードのシャツの裾を、くいっと引っぱった。

ボディガードは慌てて口を開く。

「ペニーさん、申し訳ありません。昨夜は私が酔っ払ってしまって……今すぐここからお送りします」

萩原彩花はほっと息をついた。物事は自分の予想通りに進んでいる。

しかし、ボディガードに支えられて数歩進んだところで、萩原初が立ちふさがった。

「ペニー、こんなことをするのが悪いことだって分かって...

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