第312章

いっぽう萩原彩花は、まったく顔を上げられずにいた。人生でこれほど恥をかいたのは初めてだった!

すべては岩崎奈緒、あの女のせいだ!

昨夜、岩崎奈緒を尾行しに行かなければ、ボディガードに捕まってこの部屋に連れ込まれることもなかった。

このタイミングで現れなければ、ボディガードと関係を持ったのが自分だと、皆に知られることもなかった。

とにかく、すべてが岩崎奈緒の過ちだった。

萩原彩花の憎悪に満ちた視線が岩崎奈緒に突き刺さる。その肉を一枚剥いでやりたいとでも言わんばかりに!

岩崎奈緒は涼やかな気配を纏い、避けもせず、かわしもしない。「萩原彩花さん、説明していただけますか」

萩原彩花の口...

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