第317章

岩崎奈緒は少し驚いた。ビジネスである以上、当然こちらからアプローチするのが筋で、まさか藤原光司の方からわざわざ会いに来るわけがない。

「じゃあ、その時断らなかったの?」

藤原美咲は純粋に好奇心が抑えきれなかった。プライベートなことを詮索するのは良くないとわかってはいても。

相手はあの、藤原家で最も優秀だと彼女が思う兄なのだ。

「何度か断ったけど、結局は同意したわ」

岩崎奈緒は笑みを浮かべながら、藤原美咲がなぜ急にそんなことを聞くのか不思議に思った。

藤原美咲の顔が途端に赤くなる。まさかペニーが兄と寝るために、そこまで努力していたなんて。

もし萩原初がこのことを知ったら、きっと怒...

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