第325章

一方、岩崎奈緒が谷口優奈に電話をかけると、谷口優奈はすぐに応答した。彼女はもともと実家から一度帰ってくるようにと連絡を受けていたところだった。

「優奈、ちょっとこっちでトラブルがあって」

岩崎奈緒の声は切羽詰まっており、一聞してただ事ではないと分かった。

谷口優奈は他のことなど構っていられず、すぐに住所を尋ね、車を走らせた。

しかし、道半ばで、その住所に聞き覚えがあることに気づく。先ほど森野牧が言っていた住所と同じようだ。奈緒と牧は同じバーにいるのだろうか?

彼女は深く考える間もなく個室に飛び込み、首が血まみれの岩崎奈緒を見て、息を呑んだ。

「奈緒!」

岩崎奈緒は力を振り絞って...

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