第326章

「お姉様、私の評判はもうめちゃくちゃよ。あんなボディガードと関係を持ったなんて、大勢の人に知られちゃった。もうお嫁に行けないんじゃないかしら?」

藤原光司があの場面を目撃したことを思うと、今すぐ死んでしまいたいほどの気持ちだった。

しかし、本当に悔しくてたまらない。藤原光司のそばにこれほど長くいたのに、彼は一度もまともに自分を見てくれなかった。

それどころか、どこかのデザイナーとは、どうやら仲が良いらしい。

そればかりか、自分の従姉とは恋人同士だという。

自分だけが、何の得もしていない。

萩原初はどこか気のない様子で、彼女の腕を支えた。

「誰のせいでもないでしょう。自分が不注意...

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