第343章

彼女は深く息を吸い込むと、外から岩崎直樹が物を叩き壊す音が聞こえてきた。

この二日間、岩崎直樹はずっとこの調子だ。些細なことでも、すぐに彼を激怒させた。

それに加え、岩崎奈緒と萩原初が決定的に決裂しなかったこと、そして今になっても萩原彩花が国外に送られたことで、岩崎直樹もまた居ても立ってもいられなくなったのだ。

岩崎陽菜は、岩崎家がどうなろうと、どれだけの財産を分け与えられようと、まったく気にしていなかった。彼女が欲しいのは藤原光司だけだ。

藤原光司を手に入れることさえできれば、人生は満たされる。

彼女はドアを開けて外に出た。

「お兄ちゃん、まずは落ち着いて。今、萩原彩花は国外に...