第349章

温水聡はグラスを片手に、どこか上の空だった。

「彼女がどう思うかって、どういう意味だ」

「ペニーのことだ」

「俺が言ってるのは萩原初のことだ、クソッ!」

藤原光司の手が一瞬止まり、睫毛を伏せた。「……ああ」

温水聡は可笑しくなって、唇を噛んで笑いを堪えた。

「じゃあ君のさっきの意味は、ペニーとの関係について、お前がどう思うかは重要じゃなくて、彼女の考えが重要だってことか」

もしペニーが彼にまとわりついてきても、それを受け入れると?

しかし、藤原光司はもう答える気がないようだった。

温水聡は焦れて頭を掻きむしる。「そういう意味だろ? さっき俺が萩原初の話をした時、まったく聞い...

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