第361章

岩崎奈緒が素早く身を引かなければ、上昇する車の窓ガラスに髪が挟まれるところだった。

彼女は、すでに遠くへ走り去った車を見つめながら、ただ可笑しいと感じるだけだった。

すぐに林田景へショートメッセージを送る。

【林田社長、藤原社長にお会いしました。藤原社長からは、あまり自分を買い被るなと言われてしまいました。萩原初さんにお願いしてみてはいかがでしょう。今、彼女は助手席に乗っていますので】

林田景は半信半疑ながらも、本当に萩原初へ電話をかけた。萩原初はにこやかに電話に出ると、聞いてみると答えた。

電話を切った後、彼女は藤原光司に視線を向けた。

「林田社長から私にも電話が来たわ。よほど...

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