第366章

松岡和人は元の部署に長くいたが、ずっと前の上司に抑えつけられていた。最近ようやく昇進したばかりだ。

彼の能力は昔から悪くなかったが、いかんせん学歴がネックだった。しかし、先日の手柄が評価され、宝科の社長が側近として育成することにしたのだ。使ってみると存外に使い勝手が良かったため、そのまま留め置かれたのである。

藤原光司が個室に入った瞬間、宝科社長の吉原太一と、その部下である松岡和人がすでに待ち構えていた。他にも宝科の重役が数名いる。

吉原太一は非常に愛想よく立ち上がり、出迎えた。

「藤原社長、本日はお越しいただきありがとうございます」

藤原光司の視線は数人を通り越し、松岡和人の上で...

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