第372章

温水聡は彼が否定しないのを見て、眉を上げた。

「もう口にしたのか?」

藤原光司は手中のカードを見つめ、気だるげに一枚を投げ捨てた。

彼を相手にしない。

「なら口にしただけで、まだ他の場所は味わってないってことか」

温水聡は感嘆し始めた。

「まさか、あの潔癖症の君が、よりにもよって人妻に本気になるとはな」

藤原光司のカードを握る手が止まり、眉間に皺が寄る。

「言葉を慎め」

「事実だろう。確かに彼女にいくらかの色気があるのは認めるが、お前、潔癖症じゃなかったのか?本気で他人と一人の女を共有できるのか?考えたことはあるか?彼女が旦那とキスしたその口で、今度はお前の唇を奪うんだ...

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