第373章

使用人はやや呆れつつも、何と言っていいかわからず、お茶を淹れに行くしかなかった。

岩崎雄二は今日、二人の息子を連れてきていた。長男は二十四歳、次男は二十二歳。二人とも結婚適齢期だが、岩崎雄二の給料では住宅ローンを返すだけで精一杯で、家の頭金など到底用意できない。しかも、買うとなれば二軒分が必要になる。

長男にはもともと恋人がいたが、頭金を出せないと聞かされるや、すぐに別れを告げられた。

七十平米そこそこの家に、彼ら一家と窮屈な同居をしたがる者など誰もいない。ましてや息子が二人もいるのだ。誰も外に出て暮らそうとはしない。そんなことをすれば、高額な家賃を支払わなければならないからだ。

そ...

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