第375章

「覚えてなさいよ!」

五人は慌ただしく荷物を持って出て行った。

岩崎奈緒はソファに座り、家政婦にすべての場所を消毒するよう指示し、それから守衛室にも連絡を入れた。

「今度からこの人たちを二度と入れないでください。さもなければ、あなたたちの仕事もなくなりますから」

守衛は以前、鈴木蘭の命令で数人を入れたのだった。

しかし今、誰もが岩崎家がどうやら変革の時を迎えようとしているという予感を、漠然と抱いていた。

「承知いたしました、岩崎様」

岩崎奈緒はバラガーデンへユキを迎えに行った。バラガーデンには庭がなく、ユキが暮らすには窮屈だった。

藤原光司のいる山暁(さんぎょう)の屋敷に戻る...

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