第376章

岩崎奈緒はただ、彼の隣にある椅子に視線を向けた。

「里見社長はプライムでお待ちください。時間になりましたら、こちらからお返事いたします」

里見晋也は鼻で笑った。この娘はまだ若い、プライムがここ数年何をしてきたか調べてもいないのだろう、と。言ってしまえば、それは道義に反する金儲けだが、法律の許容範囲内に収まっている。

なにしろ、契約は双方が結んだものなのだ。

しかし、彼は岩崎奈緒の容姿と雰囲気に強く惹かれていた。

「岩崎さんの顔に免じて、今は帰りましょう。もしよろしければ、後ほど夕食でもご一緒しませんか。会社の件は、その時にでもゆっくりと」

彼は満面の笑みを浮かべ、自身のビール腹を...

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