第384章

藤原の爺様はこれでようやく満足した。

以前、二人が碁を打つ時は、一進一退の攻防を繰り広げ、少なくとも三十分はかかって勝負がついていた。

しかし今夜、お爺様は藤原光司に完膚なきまでに叩きのめされ、わずか十分で戦いは終わってしまった。

彼が驚いて眉を上げる。

「お前、まさか今まで手加減していたのか?」

今更気づいたのか、と内心で毒づきながらも、藤原の爺様は満足げに鼻を鳴らした。

「もう一局だ!」

藤原光司が壁の時計に目をやると、時刻はすでに七時五十一分だった。

「光司、碁を始めてからもう五回も時計を見たぞ。心が落ち着いておらん」

藤原の爺様は海千山千の古強者だが、その落ち着きの...

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