第399章

萩原初は、彼がその妻に対して抱く態度をとうの昔に知っていた。その目に軽蔑の色がよぎる。

あの女ときたら、名前を持つにすら値しない。

彼女は親切心を装って忠告した。

「でも、もし離婚したら、彼女も再婚は難しいんじゃないかしら。なにしろ藤原家から追い出されたわけですし」

藤原光司の顔に不耐が浮かび、外で待たせていた車に直接乗り込んだ。

「俺に何の関係がある」

萩原初は彼に続いて車に乗り込み、自身の度量の広さを見せつけようとした。

「その時は、彼女に財産分与をするつもり?」

藤原光司は鼻で笑った。岩崎家が藤原グループから得た利益ではまだ足りないとでもいうのか。

それに山暁のあの別...

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