第400章

谷口優奈は少し不機嫌になった。

「隠れることなんてないじゃない。隠れるべきなのはあのクソな男女の方よ!」

岩崎奈緒は彼女を引っ張って中に入り、藤原光司に見られていないことを確かめてから、そっと口を開いた。

「私も彼に隠れて外に男を作ってるんだから、お互い様よ」

谷口優奈は途端に笑い出し、彼女の肩を抱いた。

「そうそう、奈緒も悪くなったのを忘れてたわ。さ、個室を予約してあるの。今夜は本物の『大人の遊び』ってやつを見せてあげる」

前回谷口優奈がこの台詞を言ったのは、遊園地を丸ごと貸し切って彼女の誕生日を祝ってくれた時だった。

岩崎奈緒は幼い頃、確かに苦労してきた。後に岩崎雄大の事業...

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