第408章

藤原光司はこめかみを押さえ揉んだ。

「俺を呼び出したのは、このためか?」

「陽太さんが関わっていた極秘任務……彼が亡くなって何年も経つのに、上層部は未だに当時の彼の足取りを洗い直している。あなたの父親もよ。長年家を空けているあなたの父親も、陽太さんの生前の行動を追っていると聞くわ。だから、陽太兄さんは間違いなく何か非常に重要なものを残したはずだ。その相手は彼の恋人である可能性が極めて高い。もしかしたら、その恋人本人でさえ、それがどれほど重要なものか分かっていないかもしれない」

藤原光司は黙り込んだ。スーツに身を包んだ彼の纏う雰囲気は、冷たく鋭利だ。

「光司、あるいはこう考えてみろ。陽...

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