第411章

岩崎奈緒は何も言わなかった。リビングのドアが閉められるまで、彼女はただ、しょぼしょぼする目を瞬かせた。

悲しみが極まると、人は声も出せなくなる。

今の岩崎奈緒がまさにそれで、まるで喉を強く締め付けられているかのように息が詰まる。

昨夜、岩崎雄大の条件を受け入れた時、彼女はひどく落ち込んだ。それでも、そのすべてを背負わなければならなかった。

実のところ、彼女は岩崎雄大をよく理解しており、少しも恨んではいなかった。

もし自分が岩崎雄大だったら、昨日のような状況で、血を吸うような両親に直面し、亡き妻が遺した娘が実の子ではないと知れば、誰だって打ちのめされるだろう。

岩崎雄大が彼女に悪態...

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