第412章

岩崎奈緒は背もたれに寄りかかり、目を細めた。

「夏目部長、準備はよろしいでしょうか」

夏目源は慌てて手元の資料を整え、一字一句区切るように自分のまとめを述べ始めた。

彼は今年で五十代も半ばを過ぎ、その認識は完全に過去のまま止まっている。

正確に言えば、この場にいる上層部のほとんどは、岩崎雄大と共に小さな会社から叩き上げてきた者たちであり、彼らの思考は現在の岩崎グループにとって、もはや通用しなくなっていた。

岩崎奈緒は彼らの説明を聞き終えると、すっとまつ毛を上げた。

「今後半年以上、会社には何の受注もない見込みです。皆さんは長年この業界に身を置いてこられたのに、他に人脈はないのです...

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