第6章

 兄から送られてきたレストランの地図URLをタップした。

『ただのお見合いだ。一回会うだけでいい』電話越しの颯斗はそう言った。

『とにかく前に進むんだ』

 断るつもりだった。けれど、思い直した――どうせ他にやるべきことなんてないのだから。

 離婚届とDNA鑑定書はすでに発送済みだ。あとは山崎渡がサインするのを待つだけ。

「わかった、行くよ」

 店に着くと、彼はすでに席に着いていた。

 三十代前半だろうか。仕立ての良いスーツを隙なく着こなしている。

「こんにちは」向かいの席に腰を下ろした。

「五条正人です」彼が手を差し出す。

 私はその手を握り返した。

「静留です」

 ...

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