第7章
五条正人とレストランを出ようとしたその時、背後で椅子が床を激しく擦る音が響いた。
山崎渡が飛び出してくる。
「静留! 待て!」
私は足を止めなかった。
だが、渡は大股で追いすがり、乱暴に私の腕を掴んだ。その強引な力に、思わず体がよろめく。
「八年だ」彼の声はしわがれ、両目は赤く血走っていた。
「八年間の結婚生活を、お前は終わらせるつもりか?」
私の腕に食い込むその手を見下ろす――かつては、優しく結婚指輪を嵌めてくれた手。
なのに今は、ただ息苦しさを覚えるだけだ。
五条正人が一歩前に出た。
「彼女を離すんだ」
すると渡は、ポケットから何かを取り出し、私の目...
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