第103章

篠原霧音は取り乱しもしなければ、顔をしかめて言い返しもしなかった。

ただ静かに椅子から立ち上がり、まっすぐガラス張りの壁へ向かう。

外に群がっていた連中は、彼女が近づくのを見て反射的に半歩下がった。だが、最前列でスマホを構える手だけは遠慮なく動き続けている。

篠原霧音は壁際まで行くと、手を伸ばしてブラインドのスイッチを押した。

さあ……と羽根がゆっくり降りていく。探るような視線も、侮蔑も、面白がる目も、一本一本、確実に遮断されていった。

霧音は振り返り、オフィスの同僚たちのばらばらな視線を受け止める。

「見物は終わり?」声は大きくない。なのに、ひやりとした冷気が混じった。「終わっ...

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