第106章

篠原霧音は古川司真を見つめ、自嘲気味に口を開いた。

「笑わないでね。もう……慣れちゃったの」

その言葉を聞いた古川司真の瞳に、ふっと憐れみが差す。

「これからは、そんな日々を送らなくていい」

「前を向こう」

古川司真の目の奥で渦巻く感情を感じ取り、篠原霧音はどこか逃げるように小さく頷いた。

「来週のプロジェクトの進捗会議、出張がある。だいたい3日だ」

古川司真はエンジンを切り、彼女へ顔を向ける。

「奈々のこと、心配なら……母さんを数日こっちに呼ぶよ。子どもが好きなんだ」

「俺がこの歳でまだ結婚してないからさ。よその子どもばっか見に行ってるって、からかわれてる」

そう言って...

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