第107章

「だから何よ。うちの息子はまだ小さいの、分別がないだけ! ちょっと口が滑っただけじゃない!」

「じゃあ、あの雑種は大人ってわけ? あんたら教師も、そのクズとデキてんじゃないの! ひいきする気でしょ!」

笠原灯が鼻で笑う。瞳の奥に、ひやりとした凶気が走った。

彼は腰を落とし、奈々の頭に手を伸ばす。

「奈々、パパはここだ」

けれど奈々は篠原霧音の胸に、さらに深く潜り込んだ。肩をすくめ、小さな手で霧音の服の裾をぎゅっと掴む。泣き声まじりに訴えた。

「ママ……帰ろ? ここ、いや……帰りたい……」

笠原灯の手が空中で固まる。指先がわずかに震え、結局、その手は引っ込められた。

気づいてし...

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