第109章

篠原霧音は、笠原灯がもう一度訪ねてくるのを待っていた。けれど先にやって来たのは、頭痛の種みたいな連中だった。

机の上でスマホがぶるぶると暴れ、画面には「母」。

霧音は数秒それを見つめ、眉をひそめる。しばらくしてから、ようやく通話ボタンを押した。

「遅い! なんで今さら出るのよ!」

受話口から、木下春実の甲高い声が突き刺さる。

「私とあんたの父さん、それに康人、いま駅にいるの! すぐ車で迎えに来なさい!」

霧音はスマホを握る指に力を込めた。

「……どうして急に来たの?」

「は? 社長夫人になったら、実の親も他人扱い?」

春実は向こうで悪態をつく。

「いいから来なさいよ! こ...

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