第115章

カーテン越しの淡い朝の光が、部屋の隅々までじわりと滲んでいた。

篠原霧音は目を開ける。焦点の合わないまま、天井をぼんやり見つめた。

隣のマットレスがわずかに沈み、笠原灯の腕がまだ彼女の腰に回っている。

霧音は身じろぎもしない。無理やりその腕を押しのけ、布団を跳ねてベッドを降りた。

そこでようやく灯が目を覚まし、上体を起こす。

霧音は背を向けたままクローゼットを開け、仕立てのいい黒のスーツを取り出した。

一言も発さず洗面所へ入り、着替え、身支度を整える。

十分ほどで霧音が戻ってきた。

長い髪を後ろでまとめ上げ、すらりとした首筋が露わになる。

灯はその姿を見つめ、喉仏がごくりと...

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