第117章

「もう帰って!」

篠原霧音は怒りで全身を震わせ、玄関のほうを指さした。

「ここで恥さらししないで! 私とあの人は、あなたたちが想像してるような関係じゃない!」

それを聞いた木下春実は引き下がるどころか、どさりと床に座り込んだ。

「何が『そんな関係じゃない』よ。私が目ぇ腐ってるとでも? この浮気性のクソ娘! せっかく笠原家の若奥様でいられるのに、外で男漁りして!」

篠原雄也も調子に乗って、両手を腰に当てたまま霧音の前に立ちはだかる。夫婦そろって、まるでチンピラだ。

「今日ここで退職の手続きして、俺たちと家に帰るまで、絶対帰らねえからな! このボロ会社が俺らに何できんだよ!」

篠原...

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