第120章

笠原灯がドアを押し開けた瞬間、篠原霧音がクローゼットにもたれたまま、ずるずると床へ滑り落ちるのが見えた。

頬は異様に赤く、額の産毛は汗で濡れて肌に貼りついている。

灯は数歩で距離を詰め、彼女の肩を支えた。

薄いパジャマ越しに伝わる熱が、掌を焼く。胸がひくりと跳ねた。

「……どうした?」

眉を寄せた声には、隠しきれない焦りが混じる。

霧音は荒く息を吸い込み、灯の腕に指を食い込ませた。骨の芯から湧き上がるような熱が、血を伝って全身を舐め尽くしていく。喉はからからで、理性がじわじわと溶けていくのが分かった。

「い……病院……」

歯を食いしばり、唇の隙間から言葉を絞り出す。

「……...

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