第121章

夜が更けるほどに、寝室の艶めいた気配は月さえ照れさせ、雲の向こうへ隠れさせた。

篠原霧音は、自分が巨大な力で雲の上へ放り上げられ、次の瞬間には容赦なく叩き落とされる――そんな感覚に囚われていた。

重たいまぶたをどうにか持ち上げる。視界に入ったのは、汗に濡れた男の鋭い顎のライン。

薬の波に理性はばらばらに洗い流され、身体の奥の火は消えるどころか、ますます勢いを増していく。喉がからからで、息が熱い。

笠原灯は、下で起きた変化に気づいて顔を伏せた。

霧音が、彼を見ていた。

いつもは距離と冷たさを宿す瞳が、今は薄い水膜に覆われ、目尻が不自然に赤い。

灯の胸が、どくんと縮む。

醒めたあ...

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