第124章

家を出た途端、風が頬を撫でて、篠原霧音は思わず肩をすくめた。ぞくり、と背筋に寒気が走る。

タクシーを拾い、彼女はそのまま今野天の家へ向かった。

木下春実と篠原雄は、もう正気じゃない。金のためなら何だってやる。

奈々をあそこに置いておくのは危険すぎる――けれど幸い、今野安哉が先回りして奈々を連れ出してくれていた。

今野天の家の前に着くと、霧音はインターホンを押した。

ドアを開けたのは今野天だった。今日は珍しく在宅らしい。

霧音の姿を見た瞬間、彼はわずかに目を見開き、彼女のやつれた顔に視線を留めた。

「霧音」

今野天は眉を寄せる。

「顔色、ひどいな。どうした」

霧音は自分の頬...

ログインして続きを読む