第135章

「帰ったら、早く休めよ」

古川司真はエレベーターの中でそう言い、篠原霧音が降り口から去っていくのを見送った。

霧音は軽く手を振り、鍵を取り出して玄関の錠を開ける。

リビングのソファには、篠原雄と木下春実が背筋を伸ばして座っていた。

数日前、清水恵が倒れた一件があってからというもの、二人は数日だけ大人しくしていた。さすがに、もう騒げないと思ったのだろう。

開錠の音に、春実がぱっと振り向く。

霧音の全身から漂う酒の匂いを嗅いだ瞬間、春実の顔がみるみる険しくなった。

「まだ帰ってくる気はあったのね?」

春実は立ち上がり、早足で玄関へ向かう。

霧音の背後を覗き込む。廊下はがらんとし...

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