第137章

リビングには、どこか重たい沈黙が落ちていた。

篠原雄は吸い殻を灰皿に押しつけて揉み消し、乱暴に顔をこすった。

「康人に金を渡せ」

木下春実はそれを聞いた瞬間、肩を強張らせる。

「それ、うちの最後の切り札よ。2400万……全部突っ込んで、もしパーになったらどうするの?」

篠原康人が不満げに眉を吊り上げ、木下春実の腕を掴んでぐらぐら揺さぶった。

「母さん! なんでそんな融通きかねえんだよ。俺のダチの話、内部情報なんだって。確実に儲かるやつ! 今出さなきゃ、今夜で枠なくなるんだぞ!」

「でも……」

「でもじゃねえ!」

篠原康人は手を伸ばし、木下春実のポケットからキャッシュカードを...

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