第140章

篠原霧音はスカートの裾をつまみ上げたまま、古川司真の肩越しに視線を滑らせ、入口に立つ三人へと落とした。

笠原灯は険しい顔で立ち、清水恵がその腕に絡みついている。清水月は横から、憎々しげに霧音を睨みつけてきた。

霧音は一瞥しただけで、すぐに視線を引いた。

表情は凪いだまま。眉ひとつ動かさず、まるで最初からそこに誰もいなかったかのように扱う。

「試せたから、もういい」

篠原霧音は古川司真へ顔を向け、淡々と言った。

「着替えてくる」

裾を持ち上げたまま、くるりと踵を返して歩き出す。

「お客様、少々お待ちください!」

販売員が慌てて二歩ほど追い、明るい声で呼び止めた。

「本当にお...

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