第156章 彼を刑務所に入れよう

篠原霧音と笠原灯が南区警察署に駆け込んだとき――。

中はすでに、収拾のつかない騒ぎになっていた。

中年の女が机をバンバン叩きながら喚き散らし、その横にはビール腹の男。首には太い金のネックレスがぶら下がっている。

隅の椅子には篠原康人が縮こまっていた。口元が切れて血がにじみ、シャツの襟は引きちぎられたみたいにぐしゃぐしゃ。髪もぼさぼさで、見るからにみじめな有様だ。

篠原霧音の姿を見つけた瞬間、康人の目がぱっと明るくなる。口を開きかけ、「姉ちゃん」と呼ぼうとして――次いで、霧音の背後にいる笠原灯に気づき、さらに嬉しそうな顔になった。

だが篠原霧音は、康人を一瞥すらしない。

「篠原康人...

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